妙法蓮華経、略して法華経は諸経の王とも呼ばれ、最も有名なお経の一つです。サンスクリット語ではサッダルマ・プンダリーカ・スートラでサッダルマは正しい真理、プンダリーカは白蓮華、スートラはお経の意味であり白蓮華のような正しい真理を説いたお経となります。8巻28品(ホン)で構成されており、すべての人々は仏になることができると説かれています。28品とは28章と同じことです。
 法華経は西暦1~2世紀頃北西インドで成立したと云われています。その後中央アジアのキジ国出身の鳩摩羅什(クマラジュウ)がサンスクリット語で書かれたお経を漢訳しました。そして6世紀ごろ日本に伝わりました。
 日本では606年(推古14年)聖徳太子が法華経を講じたと日本書記に記されています。また616年聖徳太子は法華経を広く人々に広める考えで法華経注釈書の法華義疏(ホッケギショ)を著したと云われています。その約200年後、聖徳太子を師と仰ぐ最澄は法華経を中心的な教えとした日本天台宗を興しました。また鎌倉時代には天台宗より出でた日蓮は法華経に帰依し日蓮宗を興しました。このような法華経は日本人の思想に大きな影響を残しています。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」は法華経の常不軽菩薩品第20の精神を現していると云われています。